一生に一度の手術だからこそ、よく考えて選びましょう。
ペットの避妊去勢手術は、一生に一度の大事な手術です。
その手術はすべての動物病院が同じではありません。
使っている医療機器、手術後のケアでペットの安全が大きく変わりますが、最も重視すべきは、獣医師の知識と技術、そしてペットに対する想いです。
ペットの避妊去勢手術は、一生に一度の大事な手術だからこそ、ペットのために、最良の選択をすることが重要です。
その① 傷が少なく痛みが少ない
傷口はとても小さいため痛みも最小限です。
抜糸後は傷も目立たなくきれいになります。
当院では筋肉・皮下・皮膚埋没、皮膚縫合というように4重の縫合を行っております。
皮膚縫合を行う前の段階で既に皮膚が密着していますので、より傷が目立たなくなります。
人と同じで、手術の傷は小さいほうが、身体へのダメージが少ないです。
当院の不妊手術後の傷の大きさを目にされた飼主様から、よく「腹腔鏡を使っての手術なの?」という質問をいただきます。
実は、当院では腹腔鏡手術は実施していません。
しかしながら、仔犬や子猫などの手術時の傷は、たいてい1cm程度と非常に小さいです。もちろん、傷の大きさが常に最優先事項ではありません。
大切なのは、手術が必要とする最小限の大きさにすることです。
傷が小さいと、後々の生活で目立たなくなるので、飼主様が手術のことを思い出して悲しむことも少なくなります。私自身も動物の飼主ですので、手術の傷の大きさには特にこだわっています。
それが私の獣医師としてのプロフェッショナルな取り組みの一部なのです。
ペットの身体に負担がかかる避妊去勢手術の傷口と縫合例
※WEBより引用しております。
その② 日帰り手術が可能
当院では、手術後に入院が必要なくご帰宅いただけます。
ご帰宅後は、ワンちゃんはお散歩、猫ちゃんはキャットタワーに上るなど、元気な状態で帰宅可能です。
日帰り手術は、病院での滞在からくるストレスを最小限に抑え、ご自宅でリラックスして身体を休めることが可能、そのため、傷の治りが速いと考えております。
また、当日ご帰宅できることにより、飼い主様にとっても、ペットにとってもさみしい思いをすることはありません。
当院では、日帰り手術を通じて、ペットのストレスを最小限に抑え、速い回復をサポートし、飼い主様、ペットの安心を約束します。
その③ 最新の医療機器を使った最良の手技による手術
通常、不妊手術や腫瘍、臓器摘出の際には、関連する血管を結ぶために絹糸やナイロン糸のような縫合糸を使用して、体内に糸を残す手法が取られます。
これに対して、当院では「サンダービート、ソノサージ」という最新の医療機器を用いることで、縫合糸を使わないで臓器の摘出を行います。
この方法により「異物反応性肉芽腫」という身体が縫合糸に反応するリスクがなくなりました。
そして、最新の医療機器を使った最良の手技により、麻酔時間がより短くなり、身体の負担が最小限に、より安全に手術が可能になります。
避妊・去勢手術の利点と欠点
- 避妊手術(女の子)
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- 早期手術で乳腺腫瘍(犬の場合で50%、猫の場合で90%が悪性の癌)の発生率を抑えることができる。
- 卵巣癌、卵巣のう腫、顆粒膜細胞腫などの卵巣疾患や、卵巣疾患に伴うホルモン異常による病気を予防できる。
- 子宮蓄膿症、子宮水腫、子宮腫瘍などの子宮疾患や膣の平滑筋腫などを予防できる。
- 犬の場合は、発情出血に伴う飼い主さんへの煩わしさがなくなる。
- 猫の場合は、発情に伴う特有の鳴き声(さかり)がなくなる。
- 去勢手術(男の子)
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- 精巣腫瘍や精巣疾患に伴うホルモン異常による病気を予防できる。
- 前立腺肥大、前立腺癌などの病気を予防できる。
- 会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫、肛門周囲腺癌などが予防できる。
- 性格が穏やかになり、無駄吠えなどが軽減される。
- マーキングやスプレー行動の改善が期待できる。
- 太りやすくなる
- 定期的に体重をチェックすることでその子にあった食事管理などを薦めさせていただきます。
- 全身麻酔によるリスク
- 手術の手技によって命に関わるということはありませんが、もしも命に関わるような副作用があるとすれば全身麻酔が考えられます。
全身麻酔がより安全に行われよう手術前の血液検査を行い、異常が認められた場合は手術を延期します。
また、各種モニターを設置することでより麻酔が安全に行われるよう常に配慮しております。(各種モニターについてはこちらでご覧になれます。)
- 外科的処置が必要
- (1)術後の痛みについて 当院では手術に伴う痛みを最小限するよう、手術前から痛み止めを使用しております。
また、女の子では卵巣のみを摘出する卵巣摘出術を行なうことで、傷口を小さくして痛みを軽減しています。
ほとんどの症例では手術後から食事ができ、犬では散歩が、そして猫ではじゃれることができるようになります。
≪参照:当院のプーラちゃんの避妊手術経過 抜糸時(手術後10日)・抜糸後10日≫
子宮疾患は卵巣のホルモンによって誘発されるので卵巣摘出術によって子宮疾患は起こらないことは証明されており、ごくまれに起こる術後の尿失禁の発生率の低下も期待できます。
卵巣摘出術は、卵巣子宮摘出術に比べてあらゆる点で副作用が少ないことが証明され現在では世界的に推奨されている手術方法です。
(2)縫合糸の問題 縫合糸には様々な種類があります。
最近では体内に残った糸と体質が合わないために様々な問題が報告されています。
当院では超音波メスと吸収糸(時間がたつと体内で溶けてなくなってしまう糸)のみを使用することで体内に糸を残さない手術を行なっています。
避妊、去勢手術の流れ・タイミング
一般的には犬や猫も生後6か月程度が良いと言われており、病気の予防効果も早期であれば高いと言われております。
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- 身体検査と問診(生活環境、生活)、血液検査を行い手術
- 不安や疑問などございましたら、遠慮せずお聞きください。
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- 手術前日
- 夕方以降は食事をあげないでください。
食事も消化に悪いものはあげないようにしてください。
水は大丈夫です。
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- 手術当日
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午前中 来院
当日の身体検査、聴診、血液検査(未実施の場合)を行います。
お昼 手術
当院ではより安全性の高いガス麻酔による全身麻酔を行っております。
また手術の間は心臓や呼吸の状態をモニターし常に動物の状態を把握しながら安全に手術を行います。
また手術中は若干痛みを伴うため、当院では動物の負担を軽減させる目的として鎮痛剤をしっかりと使用していきます。
夕方 術後の健診・退院について
通常は、当日退院になります。
男の子も女の子も傷口も小さいので痛みも少なく、術後すぐに歩くことができ軽い散歩もできます。
予防手術の場合は、一晩慣れない病院で緊張して過ごすより、お家で気楽に過ごせたほうが傷の治りも早いものです。